給料日やボーナス支給日、または誕生日などの記念日ということで、高い牛肉を奮発するとします。
そんなときによく選ばれるのが最高品種とされるA5ランクの牛肉ではないでしょうか。
ところが、このA5というのは、味のおいしさとはそんなに関係ないランク付けだということをご存じですか。
肉の歩留等級の基準とは・・・
A5ランクを表す“A”は、肉牛における肉の歩留等級を表すものとなっています。
歩留というのは、その肉牛がどれくらい太っていて、どれだけの多くの枝肉がその肉牛から取れたのかを示している基準です。
これは、AからCの3段階に分かれており、Aというのは太っていて、枝肉量が多い肉牛ということになります。
つまり、食べられる部分が多い肉牛ということになります。
つぎに“5”という数字ですが、肉質のランクで、1から5までの数字であらわされています。
- 霜降りの度合い
- 肉の色と光沢の度合い
- 肉の締まりと「きめ」
- 脂肪(サシ)の色沢と質
歩留等級は、これら4つの項目から総合的に判断されています。
つまり、A5ランクとは、“太った肉牛から取れる脂や赤身の色も美しい肉”というワケです。
このように、A5ランクの牛肉は確かに脂が多くて軟らかい。
ですが、赤身が多くしっかりとした歯ごたえの肉のほうが、おいしいと感じる人もいるでしょう。
また、A5ランクは脂が多いので、人によっては重すぎて胃もたれするなんてことも…。
A5ランクの牛肉がすべての人にとっての最高ではないということですね。
食べ物は人それぞれの好みで選ぶ時代へ
この格付けは、“牛の育て方”にも大いに影響を与えたようです。
2015年頃から起こった「黒毛和牛ブーム」とともに起きたのが、A5ランクの牛肉への崇拝が広まり、生産する側もそれを目指して肥育するようになりました。
こうして肉の霜降り具合が増していったといわれています。
結局、格付けはおいしさではなく、全国で同じ品質の肉を同じ価格で売るための基準ということです。
すなわち、これは流通業者のための物差しであって、消費者にとっては、肉質が同じであれば肉牛の違いはそれほど関係ないとも言えます。
問題なのは、A5ランクだという理由で販売価格に差があることです。
Aの肉牛でもCの肉牛でも、5ランクであれば味は同じだということになるのです。
にもかかわらず、A5のほうがC5より高く販売されていることがあります。
もし、精肉店やスーパーマーケットでA5とC5の価格にかなりの差があれば、C5を選んだほうが賢明です。
そして現在、A5神話は崩れはじめ、食通のあいだではすでに赤身ブームが到来しているとか…?
流行りを追うのもいいのですが、食べ物は、自分の好みを貫くのことの方が、一番良いのではないでしょうか。
人によっては、数字的には格下とされているB3やB2が好き、ということもありうるのです。
高価なものが、すべての人にとって必ずしもおいしいとは限らないということなのでしょう。
それと最近、近所のスーパーなどに買い物に行くのですが、同じ生産地でA5ランクの牛肉を別々に購入してみました。
一つ目は中堅ぐらいのごく普通のA店舗、またもう一つは、少し高級志向なB店舗で購入して味を比べてみました。
同じ生産地でA5なので、味も変わらないだろうと思ってみましたが、A店舗は少し脂が多く、牛肉の旨味がイマイチでした。
一方B店舗は脂のしつこさがなく、牛肉の味がしっかりして美味しかったのです。
何かが違うのかなと思ってみましたが、B店舗の牛肉が置いてあるコーナーを見てみると、牛肉の等級別の一覧表の掲示があり、そこにはA3~A5ランクの表示がされてました。
A5の中に更に等級分けがあるようです。
B.M.S(牛脂肪交雑基準)という等級があり、『当店舗では10等級以上のものを使用しています。』と書かれていました。
A5の中でもNo.8~No.12というランク分けがあり、サシ(霜降り)の部分のきめ細かさの違いがあるようです。
2つの店舗の違いはこの部分にあったのだと思われます。
また焼肉屋さんでも、もちろん味の違いがありますが、炭火焼きのところだと少し肉質が落ちても上手く感じることはできるので、その素材を活かしていれば、美味しく頂てくことはできるのだと思います。
まとめ
肉の歩留等級は、霜降りの度合い、肉の色と光沢の度合い、肉の締まりと「きめ」、脂肪(サシ)の色沢と質という4つの項目から総合的に判断される歩留等級を表すもので、流通業者のための物差しでしかない。
格付けはおいしさではなく、全国で同じ品質の肉を同じ価格で売るためのひとつの基準となっている。
おいしいお肉の基準は、人それぞれにある。
以上です。