「値段が少し高くても、安全のために農薬が使われていない有機野菜を選ぶ」という声をよく聞きます。
ですが、はたして有機野菜だから安全だと言い切れるのでしょうか。
有機野菜とは?
1992年に農林水産省によって制定された『有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン』によると、有機野菜とは、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることで生産された農産物と定義されています。

但し、有機野菜といっても、全く農薬を使っていない訳ではなく、除虫菊乳剤、マシン油乳剤、硫黄粉剤、硫酸銅・生石灰など、天然成分由来のものは認められています。
有機野菜に使われる肥料は化学肥料ではなく有機肥料ですが、ここにも落とし穴が潜んでいます。
有機肥料の原材料は、植物性および動物性の有機物です。
ところが動物性の肥料の場合、製造過程でサルモネラ菌や大腸菌というような病原菌が混入し、それが野菜に取りこまれる危険性が指摘されています。
この細菌を含んだ肥料で農作物をつくると、集団食中毒を起こす可能性があり、現に厚生労働省が『有機栽培』や『水耕栽培』を対象に行なった食品汚染調査では、野菜の一部からサルモネラ菌が検出されています。
無農薬野菜とは?
有機野菜と同じように安全とされるのが『無農薬野菜』ですが、これにも疑間点はあります。
無農葉野菜は、その名のとおり農薬を使わず生産された野菜です。
でも、農水省のガイドラインでは、『無農薬』や『減農薬』といった表示が禁じられています。
なぜなら、土壌に残留した農薬や周辺から飛散した農薬を含めず表示される野菜が多くあるからです。
したがって、無農薬野菜に有機野菜のような公的な規格は存在しません。
農薬を使用していない野菜には【農薬:栽培期間中不使用】などと表示し、その上で「農薬未使用」「農薬無散布」「農薬を使っていません」「農薬節減」「農薬節約栽培」といった誤解を招かない表現が求められています。
ところが、有機栽培の認証を受けていない無農薬野菜は、肥料についての規定はないため、一概に農薬が使われていない野菜は安心であるとも言えません。
また、野菜を含む植物の中には、病気になったり虫害を受けると、防御反応として毒物を生成するものがあります。
このように植物が被害を抑えようとして作り出す天然の抗菌物質を『フアイトアレキシン』といいます。
この物質は作物の苦みなどを強め、ときには人体にも有毒になるとされています。
さらに病害虫に侵された作物は、食物アレルギーを引き起こす物質が増加するともいわれています。
たしかに、大量の化学肥料や農薬を使うのは安全性に問題を生じることでしょう。
しかし、時と場合に応じて適正な量を使った野菜に異議を唱えていては、食べられる野菜はなくなってしまいます。
有機野菜・無農薬野菜の安全性と、適正な農薬を使った野菜について、今一度、考えてみてはいかがでしょうか?
人間が病気を予防したり治したりする薬も、化学的に合成されたものであることを忘れてはいけません。
まとめ
有機野菜に使われる肥料は化学肥料ではなく有機肥料で、その原材料は植物性および動物性の有機物だが、動物性の肥料は製造過程でサルモネラ菌や大腸菌などの病原菌が混入し、それが野菜に取りこまれる危険性がある。
また、有機栽培の認証を受けていない無農薬野菜は、肥料についての規定がなく、農薬が使われていない野菜は安心であるとは言えないようです。
有機野菜や無農薬についての知識は殆どの方がないと思います。
有機野菜=身体に良いので安心だと思っているのではないでしょうか?
でも実際には、上記で説明した内容になりますので、適正な農薬を使った野菜と有機野菜や無農薬野菜の安全性について考える必要性があります。